アトモスフィアの双盃

アトモスフィア(atmosphere)とは空気のことじゃなくて雰囲気のこと

立役 / 契約

自分が書くと、セリフが全くないものができあがる…なぜ?

目標はセリフオンリーの、劇脚本のようなものを書けるようになりたいなー。

 

「立役」

 

先生「筋肉には随意筋と不随意筋がある。海綿体には陰茎海綿体と尿道海綿体がある。この2つは不随意、よって通常は動かせない。陰茎海綿体は、見えないが骨盤辺りまで伸びている。その近くに坐骨海綿体筋があり、これは随意筋のため、ある条件下によって動かすことができる。」

 

生徒A(ある条件下ってなんだろう。)シンケン
生徒B(どうでもいいけどお腹すいた…)ペンマワシー
生徒C(こんなの知って、なんの役に立つの?)ゲッソリ

 

 

***

 

「契約」

 

僕は、姉と契約を交わしている。

 

口約束ではダメらしい。必ず紙を用意しなければない。名前と明日の日付、誓約の文を添える。紅のインクを指先につけて捺す。完成したら日付が変わる11時までに、手渡しで提出。これで受理される。

 

僕は、姉の友人たちと遊ぶのが楽しい。いつもの姿でも遊んでくれるけど、弟の壁は大きかった。距離が縮まる気がするから、この方が好きだ。

 

対象的に、姉は入れ替わると静かになってしゃべらなくなる。うっかり失言をしてしまうのが怖いのかもしれない。最低限の会話で、その日をやり過ごすようだ。そんなに嫌がらないのは、身体の方が調子がいいからだろう。姉の魂は、走ったりジャンプすることが大好きなようだ。

 

ある日、彼女から契約を終わりにしようと直談判された。なぜか寂しくなって、かぶりを振った。どうしても嫌だった僕は、泣きの最後の1回を頼んだ。

 

乗り気ではない姉は、僕が提案すると絶対に断らない。しっかりと契約書は見せた。明日は悔いのないように生きてやろうと思う。

 

契約とは、お互いの身体を入れ替えて1日だけ生活すること。この不思議な能力は、いつか使えなくなる。特殊な儚い力だった。